『知っていますか? 斑点米と農薬とミツバチ大量死』を発刊
ミツバチの大量死の原因と農水省も認めるネオニコチノイド系農薬と斑点米の関係を分かり易く解説したパンフレット『知っていますか? 斑点米と農薬とミツバチ大量死』(A5版・16ページ)を発刊しました。(2015年7月15日)
おかげさまで、印刷版は好評で、増刷分も売り切れました。まだ、ご注文もあり、内容も古くなっていないので、このホームページで公開することにしました。ご自由にお使いください。(2017年7月14日)
下の表紙をクリックすると全文表示されます。
パンフの紹介サイトです。
・日経メディカル電子版2015年7月29日号:「医のふるさと」
色平哲郎さん「斑点米と農薬とミツバチ大量死」
色平さんの許可を得て 全文 掲載します。
・有機農業ニュースクリップ 2015.07.15 No.678
http://organic-newsclip.info/log/2015/15070678-1.html
・アクト・ビヨンド・トラスト 2015.07.13
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日本の田んぼで一番多く使われている殺虫剤はカメムシ防除用です。今問題になっているネオニコチノイド系の農薬がじゃんじゃん使われ、お米にも残留しています。
カメムシは斑点米を作るとして、徹底的に防除されますが、殺されるのはカメムシだけでなく、田んぼの生物から鳥にいたるまで生態系を破壊します。特にミツバチの大量死はカメムシ防除の農薬が原因と農水省も認めています。
カメムシ防除は収穫量を減らすなどの実害はありません。ただ、見栄えが悪いというだけです。しかも、斑点米は色彩選別機という機械で除去できます。農薬散布はやめるべきです。
消費者が斑点米を嫌がるから農薬散布するのだと農水省はいいますが、消費者は農薬が大量に使用されていることを知らされていません。このことを消費者に知っていただきたくこのパンフを作りました。
有機農業者の田んぼでは農薬は一切使用しないのに、カメムシが大量発生することはありません。天敵がいっぱいいるからです。農薬漬けの農業を改めて、有機農業を進めるために消費者も努力しましょう。
できるだけ多くの人に読んでもらいたい。友人、知人に勧めてください。
そして、農水省へ意見を届けてください。
2.どうして斑点米がいけないの?
3.カメムシは周辺の雑草から水田へ
4.カメムシと農薬
5.農薬散布の仕組み
6.死ぬのはミツバチばかりじゃない
7.ネオニコチノイド系農薬とは
8.見栄えが第一だから
9.色彩選別機ではじく斑点米
10.消費者は農薬散布を望まない
【お問合せ・お申込】
斑点米と農薬とミツバチ大量死
(JA長野厚生連・佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科医長)
「斑点米(はんてんまい)」という言葉をご存じだろうか。読んで字のごとく、黒っぽい斑点がついた米粒のことである。
稲穂の実がやわらかいときにカメムシなどが汁を吸うと、そのあとが黒くなって斑点米になる。米に斑点があるからといって、健康に悪いわけでも、味が落ちるわけでもない。安全性には全く問題がないとされている。
にもかかわらず、米の流通業者や小売店、炊飯業者などは斑点米を目の敵にする。農林水産大臣までが「着色粒(斑点米)の混入が消費者からのクレームの主因になっている」と国会答弁をしている。
「消費者が嫌う」という理由で、斑点米は徹底的にはじかれる。「農産物検査法」は、米1000粒に対して「着色米(斑点米)」が1粒なら「一等米」、3粒以下なら「二等米」、7粒以下なら「三等米」と格付けている。
米の流通業者は、一等米と二等米で60キログラム当たり600〜1000円の価格差をつけて買い取る。厳しい経済状況下、少しでも高く売りたい農家は、農薬を使ってでもカメムシ退治をしたくなる。かくして、1990年代からネオニコチノイド系農薬が散布されるようになった。
その事情が「米の検査規格の見直しを求める会」が出している「知っていますか? 斑点米と農薬とミツバチ大量死」という小冊子に詳しく書かれている。 http://hantenmai.sakura.ne.jp/
小冊子でも触れられているが、ネオニコチノイド系農薬に関しては、近年しばしば報じられるミツバチの大量死にも関連しているとの指摘がある。そうした状況で、米の見た目を保つために散布をし続けてよいのだろうか。
ちなみに斑点米は色彩選別機で完璧にはじかれるので、私たち消費者に届くときには結果として、ほぼ完全に消えている。だったら途中で中途半端に等級などつけず、色彩選別機にかければよいのだ。
一方で輸入米には1000粒に10粒(1%)の着色粒が認められている。「貿易自由化」が進めば、斑点米がもっと入ってくることだろう。日本は、安全上問題のない斑点米を忌避し続けていくのだろうか。米の輸入拡大が協議されている今、この問題への議論を深めていく必要があると感じる。