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最終更新:2014年10月18日

『てんとう虫情報』(反農薬東京グループ)より加筆転載

斑点米カメムシをめぐって 農水省2局長との話し合い

 当グループも参加している「米の検査規格の見直しを求める会」(以下「求める会」は、水田での殺虫剤散布面積で一番多く、ミツバチの大量死の原因となる斑点米カメムシ防除の農薬散布をやめさせ、その元凶である農産物検査法の着色粒規程の削除、さらに、斑点米カメムシを植物防疫法の指定有害動植物からはずすよう要望運動を進めています。

 10月10日現在、賛同は80団体を越え、個人の賛同も600名を超えています。

 要望は以下の3点です。

1、斑点米カメムシ類の農薬による防除をやめる。
2、カメムシ防除を強要する農産物検査法の玄米の着色粒(斑点米)規定を削除する。
3、植物防疫法の「指定有害動植物」の指定から斑点米カメムシ類を外す。

 求める会は、9月26日、農水省の松島生産局長と、小林消費安全局長と面談し、要望を伝えました。

★松島農水省生産局長の説明

 生産局長には、農産物検査法で規定されている着色粒の規格を削除するように求めました。

 以下、重要と思われるやりとりを整理して示します。

<大量流通に必要と局長>

求める会:農産物検査法の規定が非常に厳格で、(資料を示す)、着色粒規定が千粒に一粒の場合は一等米、二粒になると等級が落ちて二等米になるわけですね。この一粒の差で60キロあたり600円から1000円の価格差が生じる。そういうことで農家が農協と一緒になって「目指せ、一等米」ということで大量の農薬を散布する。発生予察が義務づけられて、指導に従って空中散布もされているという状況があるんですね。
 私どもが食べるお米にも農薬が残留するということにもなります。ですから、この際、日本の農業、生産者への影響、環境への影響、そして消費者への影響などを考えると、見直しの時期ではないかと思うんですね。
局長:大量に流通する米や麦といったものを実際に現物を確認しない中で流通している実態があるので、どういう品質のものが自分らが購入するときに、どういうものかということを示すという観点から設定されている規格でございます。そういう観点からしますと、やはり、実際に実需者、まあ、最終的には消費者になりますが、お米やさん、流通業界、そういった方々がどういう規格基準があることによって、取引を円滑にすすめていくのかということができるかという観点から(必要だ)
求める会:そのお話しは、この間、食糧部長とかいろいろ話し合ってきた中で、同じ、ご説明だったんです。でも、今、農家は色彩選別機で斑点米をはじいてしまう。一等米にするためにコストを負担してでも、はじいているんですね。なおかつ、とう精にかければほとんどなくなります。私どもに届くときには、等級差は全く市場にはないわけです。私たちが一等米を買いたいとか、二等米を買いたいとかいってもは全く関係ないわけです。お米は主食ですから、この扱いについては透明性が確保されなければならないですね。でも、すごく不透明なんです。

<輸入米には甘い基準>

求める会:(国産米は0.1%だが)輸入米は着色粒は1%なんですね。これは合否だけで、日本のように等級に分けるということはされておりません。これから国際米が入ってくる可能性があるのですが、これはダブルスタンダードで農業者に過酷な基準を強いています。国際的にも通用しません。これを輸入米にも当てはめるということはないわけでしょう。
局長:ございません。
求める会:でしょう。ダブルスタンダードじゃないですか。
(この点に関して、局長はきちんと回答しなかった)

<消費者はいつも蚊帳の外>

局長:流通の個別の話ですが、流通が円滑になされるために、規格ができているんですね。規格というのは、消費者を含め、各種経験者、実需者を含め、事業者の方から意見を聞きながら、この規格を作っているんです。この規格の中に何故着色粒が入っているかですが、実際に、消費者なり、米の小売店から着色粒があるというクレームがある
求める会:それは実際に数字として上がっているのですか。年間、何件、こういうものが入っていて問題だっていう声があるのですか。
局長:それはですね、毎年、規格を決めるについてはね、見直しと意見を聞いております。
求める会:そういう流通業者の声というのが、実際に、私たちに提示できるようなものがあるのですか。
局長:斑点米についてのクレームが多いというご意見が卸売りとからの意見も聞きながら基準が決まっているということです。
求める会:消費者は、いつもそこからはじかれているんですよね。消費者の意見は一切、その検討会では反映されていない。しかも、この規格は流通業者のためのものであって、消費者には関係ないとずっと言われてきたんです。最終的に食べる消費者の意見を全然聞かないで、流通業者の利益のためにこのような規格を決めている。その規格があることによって徹底的に農薬散布しているわけです。そのために消費者は二重に被害を受けている。ですから、実需者の言うことだけで決めてもらったら困る。

<法改正なくても変えられる>

求める会:農水省はあくまでも業者寄りで物事を判断しているのではないか、非常に狭い意味での利益を反映するために、これを変えようとしないのではないか。不合理なこの規定をあくまで死守して、今後も続けていくのか。これは局長のご判断ひとつだと思うんです。これは法改正しなくても局長通達で変えられますでしょう。
局長:それは、法律改正はいらない
求める会:ですよね。だから局長ご自身はどのように思われるのですか。
局長:今、実需者のことばかりの意見を聞いているとおっしゃいましたが、実需者の中でも、皆さん、ご商売をすれば分かると思いますけれども、消費者のニーズにどう応えるかが大事なんです。何故、コストをかけてはじくかと言えば、消費者のニーズ以外にない。

<除去コストは調査しない>

求める会:そのコストが500円というのは変わりないですか。
局長:一般的な話ですけども、コストを計算するときには、人件費をどうするとか、色彩選別機の減価償却費をどうするのか、非常に実質的な話なんで、いろんな試算があると
求める会:再調査やっていただけますか。
局長:いやあ、そこはですね、
求める会:コストは問題ではないということですか。
局長:いや、最終的にはコストは問題になるかも知れないですが、まず、この基準が制定されているのは、冒頭お話ししたように、検査法自身が、
求める会:検査規格を見ると、着色粒が入っている被害粒は15%まで認めています。最高限度15%になっている。一等米の項目の一つである着色粒がわずか0.1%を超えただけで、被害粒がたとえ15%未満であったとしても、等級格落ちする。この0.1%がそれほどの重大な問題になるのか、何が問題なのか。
求める会:私たちは農産物の検査規格をなくせといっているわけじゃないんです。私どもが言っているのは、この着色粒規定が異常だと言っているわけです。不合理だ、おかしいと言っているんですよ。

★小林消費・安全局長との話し合い

写真:小林局長(右から2人目)=9月26日、消費・安全局長室 撮影:グリーンピース
小林局長(右から2人目)=9月26日、
消費・安全局長室
撮影:グリーンピース

 続いて、小林消費・安全局長と話し合いました。局長は、斑点米カメムシが収穫量に与える影響が大きい、と今までとは違う主張をしました。

 その根拠となるデータがあいまいなので、すぐ提出してほしいと頼みましたがさんざん催促して、2週間後に出てきたのはネットで検索した資料でした。植物防疫法の有害指定動植物の指定は2000年からだというのに、なぜ、今頃になって農水省がネットで検索しなければならないのか、全くおかしな話です。

<斑点米カメムシはかなりの被害>

局長:まず前提として、カメムシは大した被害をもたらさないという前提が違うと思います。昨日もいろいろと病気の専門家だとか虫の専門家とかがいるんですけれども、聞きましたら、カメムシは特にお米について言うと、かなりの被害をもたらす、現にもたらしているというデータもあるという風に(聞いた)。
求める会:それはコスト的に?
局長:いや、コスト的にというよりまず量的に。全然実が入んなくなっちゃうようなものになっちゃったりとか、斑点が出るだけじゃなくって、そういうことは実際の論文などに出ていまして、実証もありますので。
求める会:収穫量が減ると?
局長:そうです。
求める会:それは是非とも論文をいただきたいんですが。
局長:それは公表されてますので、差し上げられると思いますよ。
求める会:収穫量が減るというのは初めて聞きました。
局長:そうですか。それは私からでなくても専門家から十分に情報提供できる範囲ですので、公表されてる論文はいくつもありますので。
求める会:どれくらいの被害が(あるのですか)? 
植物防疫課:さまざまな各県の試験場で調査とか、行っております。その中で、ホームページで見て頂ければいろいろと出てくるとも思いますけれども、東海地方の試験場の報告によりますと、1圃場あたり最大2割くらい粃(しいな)という形ですね。
求める会:それは去年のですか?
植物防疫課:今申し上げたのは昭和60年のものがひとつあります。それから平成12年、それから…
求める会:近年は?
植物防疫課:平成12年が(一番最近のもの)。
求める会:それが一番新しい?カメムシで、一圃場当たり2割の減少があったという論文なんですね?
植物防疫課:2割っていうのが、さきほどの愛知県のもの。これは最大で
求める会:それが昭和60年の?
植物防疫課:はい。
求める会:ずいぶん古いんですね。
求める会:私は秋田の農家なんですけど、秋田県の農業試験場か、病害虫防除所の話だったんですけどね、防除しなければ、最大1000粒あたり20粒程度入ることもある、って聞いたんです。よくよくその前提を聞いていみたら、その田んぼは雑草だらけだったと、ヒエだとかホタルイだとか。もともと田んぼ自体が繁殖地になってしまっている場合なんですよ。多くの場合、カメムシの発生は周辺の雑草地ですよね、そういう場合は20粒とかいかないと思うんですよね。
 雑草だらけになった田んぼというのは、水田全体の割合としてはそんなに多くはないと思うんですけれども、そういう田んぼを取り上げて20粒もあるからと、だから防除が必要なんだと、雑草がない田んぼも防除が必要なんだってことにならないとおもうんです。
 まずは、雑草対策をしっかりやるということが先であって、雑草だらけの状態にしておいて殺虫剤の散布が必要だというのは順序が違うのかな、と。さっきの最大2割減という数字も、そういった前提で落ちたのかなと。周辺の環境はどうだったのかな、っていう。一般的な話しとして、同等の比較ができる条件だったのかというのも問題だと思う。
 秋田県農業試験所に質問して、防除しないとどうなるかと、どれくらい被害が出るのか、と聞いたら、わからない、って話だったんです。他県の農業試験場に聞いてみたら、10年間防除しなかった圃場と、防除を続けた比較があると、その場合は、防除しなかった場合最大0.5%の被害があったと。防除すると0.1%に収まったと。その程度の違いしかないんですよ。

<指定有害動植物になった理由は曖昧>

求める会:カメムシが)指定害虫になった根拠を教えて頂きたいんですが。
局長:ですから先ほど申し上げたように、いくつかまず被害がある、ということで、もちろん農薬も、使わなくていいんならそれは使わない方がいいですよね。ただ、その場合に使わなくていいかどうかの判断が一番最初の議論で、私どもが、または専門家が聞いている所では、カメムシは大変な害虫で、使わないとかなり大きな被害が出ると。だから使わざるを得ないんだという前提で我々は今議論するんですけれども。その前提がもし違うというのであれば、それはちょっとデータをいただかないと。
求める会:カメムシが、どうして害虫かっていったときには、食べて安全か、というと安全だと。味に影響があるかといえば影響はない、斑点があるものは除くことができるかというとできる。それでもなおかつ、それが非常に有害な害虫であり続けるのかということですよね。
 害虫とみなして、農薬を大量に、水田で撒く。ミツバチもいなくなる、有益な昆虫もいなくなる、そして食べる人にも、そういう農薬薬害があるものを食べていくというような問題もあるんですね。リスクとベネフィット考えていったときに、はたして今まで通りに、カメムシは有害な害虫として、位置づけることができるのか。
 これに使われるネオニコチノイド農薬がヨーロッパとかアメリカとかでどんどん規制していこうと、そういう知見がたまってわかってきているにもかかわらず、日本では、ミツバチに影響があると思うけれども、養蜂家はそのミツバチを、空散のときにはどけなさいと、そういう話し合いをしなさいね、という程度のことしか農水省は指導してないわけでしょう?
 そろそろ、きちっと、農水省の責任をもってですね、これを見直していこうというお考えをお持ちなのかどうか、お聞かせいただきたいです。

<カメムシ農薬防除は必要と>

局長:カメムシの話と、それからミツバチの話、重なってるところありますけれども、少し別の観点があるところがあると思います。
 まず、カメムシについていうと、カメムシが一体どれぐらいの被害をもたらして、その被害が許容できる範囲に収まっているのか、許容できる範囲で収まっていないのであれば、どうやって防ぐことができるのか、そのために農薬は有効なのかどうかという観点で考えるべきだと思う。カメムシは大きな被害を、"すべての"ところにだすわけではない"かも"しれませんけれども、出す可能性が高い、そして現に、過去に出ている、害虫だと。単に1000粒の中で、何粒かに斑点が出るという程度のものではない被害がでる、というふうに承知してますので、その範囲ではカメムシの防除は必要だっていうふうに考えております。
 それから、ミツバチについての考え方については、6月に当方で調査結果も出し、7月に農林省の技術会議の方で研究結果も出しました。その結果を踏まえて、農林省の方では今年の春先にたしかHPにQ&A出したんですが、たしかそれも改訂しています。
求める会:―改訂してますけど、斑点米のところはぜんぜん変えていませんね。
局長:そうですか。改訂をしていますので、現在のところのミツバチのところの見解は、そこに書いてある通りでございます。
求める会:今、1000粒あたり何粒という被害にとどまらないとおっしゃったんですけれども…
局長:立ち枯れみたいなかたちになりますよね。11時半の約束の時間がきたので、ちょっと私別の約束があるもんですから…。すいません。
求める会:じゃあ一言だけ、局長さんは今後の、今のカメムシ防除の農薬使用については問題ないとおもっていらっしゃるんですか?
局長:少なくとも現在のものについて、変更すべき理由は、現時点でもってないと思います。
求める会:さっきの、最大2割減収だとか、その立ち枯れの…初めて聞いた話、被害なんですよね、農家であっても今まで知らなかったと。それを、農水省が大きな被害と捉えて制度として設けるっていうのは、絶対に合わない制度かなと。
局長:必要な資料は、専門家からお渡しします。もし渡せるものがあれば渡しますので、それをみて下さい。またそちらの方も、データがあるんであれば頂ければ、それは検討致しますので。

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