最終更新:2014年3月18日

【報告】

斑点米とネオニコチノイド系農薬を考える 大潟、秋田集会

山浦 康明
大潟村で開かれた集会
=2014年3月2日、大潟村で(写真:上林)

 水田で過剰な農薬散布が行われていることに対し3月2日(大潟村)と3日(秋田市)、斑点米とネオニコチノイド系農薬を考える集会が開かれ問題点を議論しました。主催は「米の検査規格の見直しを求める会」「日本消費者連盟」。

 集会ではまず、ダイオキシン環境ホルモン国民会議の理事水野玲子さん、事務局長の中下裕子弁護士が「ネオニコチノイド系農薬の問題点」を説明しました。

 今、水田などでは、有機リン農薬からさらに強力な効果を発揮するネオニコチノイド農薬が多く使われるようになりましたが、この農薬は「浸透性」、「残効性」「神経毒性」という特徴があり、過剰散布により人や環境への影響が懸念されます。ヒトの胎児、小児など発達途上にある脆弱な脳、神経への悪影響とともに、みつばちの大量死の原因であることが、『Nature』『Science』などの科学誌で報告されています。

 安全基準が甘くされる

 ネオニコチノイド系の「クロチアニジン」の残留基準の見直しがなされています。日本には急性参照用量(急性中毒予防のための摂取基準)がまだなく、ADI(一日摂取許容量=慢性毒性を考慮した値)しかありません。それなのに今、残留基準見直しが行われているのです。

 次に「米の検査規格の見直しを求める会」の今野茂樹さんが、米の検査制度の矛盾が農薬の過剰散布をもたらしたことを指摘しました。米(玄米)の集荷時の1等2等などの等級に食味は軽視して青などの着色粒が0.2%以上あるかどうかを規準としています。そして実際には60円ほどのコストに比べて60キロあたり600円(1等と2等の差、秋田県)と過剰な等級価格差を設定しています。このため1等米にしようと農家は過剰な農薬を散布する傾向があるのです。しかも米流通は白米でおこなわれるので、米卸、精米業者は色彩選別機を使って1等米を作ることができるのです。

 日消連(山浦)からも米の集荷方法と消費者が購入する表示制度の矛盾を指摘しました。集荷時には「農産物検査法」によって、生産者が上のような規格に縛られます。しかし消費者は農林物資の規格に関する法律(JAS法)によって、小売店では、白米の、産地、産年、品種の表示を見て購入します。ここでは、生産時の玄米での等級などはわからないのです。

(2014.3.18)