最終更新:2013年8月28日

カメムシ防除農薬は、水田で使用する殺虫剤のトップ

反農薬東京グループ 13/08/23作成)

 今年もカメムシ多発との注意報がでて、各地で大量にカメムシ防除の農薬散布が実施されました。水稲で使用する殺虫剤で一番多いのがカメムシ防除の農薬です。それも、無人ヘリコプターを使用しての空中散布が主流です。
 水稲カメムシ対策の農薬散布の実態とリストをお知らせします。

■水稲カメムシ対策用登録農薬リスト

 このリストは、FAMICにある農薬登録情報提供システムから、水稲/カメムシ類をキーワードに選んで、ヒットした353製剤の一覧表です。

水稲のカメムシ類適用農薬リスト
画像クリックでダウンロード

 xlsのリスト表はこちらにあります。
 農薬の登録番号/農薬の種類/農薬の名称/空散適用 の4項目からなっています。

 実際に、カメムシ対策にどの製剤がどれほど使用されているかは、データが公表されないため、わかりません。ここにあるのは、カメムシ防除に使用してもいい農薬です。
 単製剤のほか、殺虫剤同士、殺虫剤と殺菌剤との混合剤も多くあります。

 表中には、無人ヘリコプター(有人ヘリコプター適用もあり)でカメムシ類に適用のある製剤に○をつけました。79製剤が該当します。

リストのまとめを紹介します。

(1)殺虫剤農薬成分

(a)カメムシ対策に登録のある単製剤成分
 有機リン:
MEP(商品名 スミチオン)、PAP(商品名 エルサン)
 ネオニコチノイド:
イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアメトキサム、ニテンピラム
 ピレスロイド;
シラフルオフェン、エトフェンプロックス
 フェニルピラゾレート:
エチプロール
 その他:
ピメトロジン
(b)複合剤にしか使われない殺虫成分
これらは、(a)との複合化により、カメムシ対策とともに、ウンカ対策に適用されるものも多いと思われます。
 主な成分:
マラソン、BPMC,ブプロフェジン、クロマフェノジド、テブフェノジド、カルタップ

 殺虫剤単剤や殺虫剤複合剤、殺虫・殺菌複合剤は、カメムシのほか、ウンカ、ツマグロヨコバイ、ニカメイチュウ。イネドロオイムシほかにも適用があるため、都道府県などが、カメムシ対策用として散布する時に挙げている製剤名に注意する必要があります。

(2)水田での無人ヘリコプター散布の多い殺虫剤

 環境省の調べによると、水稲殺虫剤で、農薬別の無人ヘリコプター空中散布面積は以下のようですが、これらがすべて、カメムシ用かどうかははっきりしません。

農薬成分名  散布面積(ヘクタール)
09年度 10年度 11年度
ジノテフラン339,189339,770355,947
エトフェンプロックス155,430150,800155,845
エチプロール69,35873,22175,603
クロチアニジン85,65869,83854,100
シラフルオフェン48,97553,18345,479
ブプロフェジン54,95935,60654,523
テブフェノジド50,24433,03351,475
MEP16,86511,0074,124
チアメトキサム1,8806,222
クロマフェノジド1,5939331,206
BPMC2841,557257
DEP *2591,075460
    * 2012年に農薬登録適用が変更され、無人ヘリコプター散布はできなくなった。

(3)成分別の製剤数

    (複合剤は重複カウントしています)
農薬成分名 主な商品名 単製剤数 複合製剤数 合 計
有機リン
 MEPスミチオン284374
 PAPエルサン8311
 マラソンマラソン011
ネオニコチノイド
 イミダクロプリドアドマイヤー123
 クロチアニジンダントツ122234
 ジノテフランスタークル234770
 チアメトキサムアクタラ123
 ニテンピラムベストガード325
ピレスロイド
 エトフェンプロックストレボン167995
 シラフルオフェンMR.ジョーカー64450
フェニルピラゾレート
 エチプロールキラップ73037
カーバメート
 BPMCバッサ02222
IGR(昆虫成長阻害剤)
 クロマフェノジドマトリック033
 テブフェノジドロムダン077
 ブプロフェジンアプロード01111
その他
 カルタップパダン088
 ピメトロジンチェス101